レモン市場

レモン市場とは?

売り手と買い手との間で商品について情報格差があるために、不良品ばかりが流通してしまう市場のことです。

「レモン」とは、アメリカなどで「質の悪い中古車」を意味する俗語。
果物のレモンは皮が分厚く、切ってみるまで中身の欠陥がわかりにくいので、そう呼ばれるようです。

同じように中古車市場においては、売り手は車の状態を熟知しているものの、買い手のほうは実際に乗り続けてみるまで車の品質の良し悪しを判別しにくい傾向があります。

そのため買い手は高い値段で欠陥車を買ってしまう事態を避けようと、中古車に払う金額を低く抑えるようになります。
仮に100万円~500万円までの中古車が並んでいた場合に、リスクを避けるために予算の上限を300万円に設定するようなイメージ。

すると売り手としても高くて品質の良い車は売れないので、安い欠陥車を優先して販売するようになります。
300万円以下で売っても儲けになるような、故障しやすい低品質な商品だけが選ばれて店頭に並べられるんですね。

このようにして、市場には不良品ばかりが流通してしまうようになるわけです。
中古車市場に限らず、同様のメカニズムで生じた不健全な市場をレモン市場といいます。

本来であれば市場には、アダム・スミス(1723-1790)「神の見えざる手」と表現したような市場原理が働いており、自由な取引が行われる中で自然と効率的な経済が達成される作用が期待されているところです。

しかし前述のような中古車市場は、買い手にとっても売り手にとっても最適な状況とは言えないですよね。

その意味で、レモン市場は「市場の失敗」と呼ばれる状況の一つとなっています。

レモン市場は、買い手だけが商品の品質について十分な情報を持っていない(=情報の非対称性が大きい)ことが原因で生じています。
こうした状況の解消のためには商品についての積極的な情報開示を行うなど、買い手にとっての透明性の確保が重要となります。