ビュリダンのロバ

ビュリダンのロバとは?

決定論と自由意志の問題について考える際によく引用される、ロバの意思選択を題材とした例え話です。

決定論とは、この世のあらゆる出来事はすべて何らかの因果関係によってあらかじめ決まっているのだとする考え方です。

物事には必ず原因があるので、現在の世界を構成する状態・諸要素の組み合わせによって、未来はすでに自動的に確定している。

この理論を突き詰めていくと、人間の行為・選択・意思といったものも状態に依存する必然的なものと言えるので、その人個人の意思決定の自由などというものは存在しないことになります。

この問題について考えるのが「ビュリダンのロバ」です。

ビュリダンのロバでは、お腹をすかせたロバの前に2つの干草の山が置かれている状況を想定します。

それぞれの干草の量がまったく同じで、ロバとの距離もまったく同じである場合、ロバはそのどちらも選ぶことができずそのまま餓死してしまう、というお話です。

決定論の立場からすれば、前提条件が完全に等しい2つの選択肢にはどちらも選ぶ必然性がないので、どちらも等しく選択できない。

もし選べるとしたら、それこそが自由意志の働きだというわけですね。

決定論を支持した14世紀フランスの哲学者ジャン・ビュリダンにちなんで、その呼び名が親しまれています。